犬の外耳炎ってどんな病気?
2022/01/21/
最近よく頭を振っている、肢で顔周りを搔いている、耳が赤い、顔が左右どちらかに傾いている…そのような症状がみられたら、外耳炎のサインかもしれません。
どうして外耳炎になってしまうのでしょうか?
また、どのように治療していったらいいのでしょうか?
本日は外耳炎についてお話しします。
診断
外耳炎は特にワンちゃんで多い病気ですが、原因は実はとても複雑で、色々な因子が絡んでいることから「多因子疾患」と言われています。
その因子を大きく4つの群に分けると、治療を考えていくうえで整理しやすくなると言われています。
PSPP分類と言い、以下のような内容です。
P:Primary causes主因…これだけで外耳炎を起こす病因です。
→異物や寄生虫など、原因を取り除けば根治できるものと、犬アトピー性皮膚炎など、長期的な管理が必要になるものがあります。
ただし、主因が特定できない特発性も32%と言われています。
S:Secondary cause副因…悪化因子とも言われ、他の因子と合わさることで外耳炎を治りにくくする病因です。
→細菌や、マラセチアという真菌の一種が過剰に増えてしまうことや、綿棒での耳掃除も悪化因子と言われています。
ご自宅での綿棒を使ったイヤーケアは避けていただいた方が良いでしょう。
P:Predisposing factors素因…これがあると外耳炎になりやすい、外耳炎リスクを高める体質です。
→外耳道の生まれつきの構造や、高温多湿な環境などが含まれます。
フレンチブルドッグ等の短頭種と呼ばれる犬種は生まれつき外耳道が細いですし、プードル等は耳毛があるので耳垢がつきやすいです。
P:Permanent factors永続因…これがあると外耳炎が治らなくなってしまう体質です。
→上皮移動と呼ばれる耳道内のターンオーバーが過剰な耳垢によって阻害されることや、炎症によって耳道が腫れたりして狭くなったりすることで、
更に外耳炎が治りづらくなるという悪循環に陥ってしまいます。
治療
治療は急性期、慢性期、維持期によって対応が変わります。
1.急性期:強い炎症や病変に対し、治療を行います。
異物や寄生虫などの明らかな主因があればそれを取り除きます。
また、細菌や真菌の感染などがあればそれに対する抗菌剤や抗真菌薬などのお薬を使用します。
更に、炎症によって腫れてしまった耳道をもとの状態に戻す為、抗炎症薬を使用します。
過剰な耳垢が永続因子になっている場合、病院での耳洗浄により、それを取り除いていきます。
2.異物や寄生虫などの明らかな主因があれば根治できる場合もありますが、根底に犬アトピー性皮膚炎などの長期的な管理が必要な体質がある場合などは抗炎症薬等を使った慢性的な炎症の管理をしていく必要があります。
3.外耳炎が良好にコントロールできた後も、体質によっては症状がぶり返さないように維持治療を行うことが推奨されます。
獣医師からひとこと
このように、外耳炎は実は様々な要素が絡み合って起きています。
基本的には点耳薬での治療がほとんどですが、重症の場合は内服薬も用いることもあります。
また、更に慢性化すると耳道が分厚くなって点耳薬が入らない程狭窄してしまい、内科治療が難しくなる場合もあり、その場合は外科手術が適用になることもあります。
重症化して痛みが出るとワンちゃんがストレスを感じますし、耳に触られるのを嫌がって怒るようになってしまうことも多いです。
また、外科手術はワンちゃんへの侵襲が非常に強いです。
耳が赤くなっていたり、痒がる様子が見られる場合、早めに診断と治療を受けていただき、良好に管理できた後も、獣医師と共にしっかりとその子に合った再発予防の方法を模索していくことが大切です。
何か気になる症状がありましたら、お気軽に獣医師までご相談ください。
足立区東和にある亀有東和動物病院。
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