病気紹介

猫の肥大型心筋症ってどんな病気?

2021/07/29/

さて、本日は病気について解説いたします。
今回は「猫の肥大型心筋症」。
猫の肥大型心筋症とはどのような病気なのでしょうか?
また検査や治療はどのように行うのでしょうか?
是非ご一読ください。

猫の肥大型心筋症について

猫の心臓病はさまざまなものがありますが、獣医師が診療で最も多く遭遇する心臓病は心筋症です。
心筋症には複数のタイプがあり、猫では心臓の筋肉が分厚くなる「肥大型心筋症」が大部分を占めます

猫の肥大型心筋症とは?

心筋症とは、心臓の筋肉である心筋に異常が出る病気で、その中でも肥大型心筋症では左心室の筋肉が分厚くなります。
心臓は心筋の拡張と収縮を繰り返すことで、全身に血液を送り出すポンプのような働きをしています。
しかし、肥大型心筋症では心筋が分厚くなってしまうことで心室が狭くなり、心臓がうまく膨らめず、十分な血液を送ることができなくなります

 ・見た目には健康な猫の15%で認められたという報告があり、とても高い有病率です。
 ・発症年齢も3ヶ月から17歳と幼齢から高齢の猫までとても幅広いです。
 ・短毛の雑種猫に多いと言われ、次いで長毛の雑種が多くメインクーン、ラグドール、アメリカンショートヘア等純血種にもよくみられます。
 ・性別は雄に多いと言われています。

どんな症状が出るの?

初期の症状はわかりにくく、33~55%が無症状という報告があります。
悪化すると、徐々に活動性の低下などの症状が出始めますが、ゆっくり進行する場合は気づかれないことが多いです。
重度に心不全が進行すると呼吸が速くなる等の症状がでることがあります。

また、動脈血栓塞栓症という症状が突如発症することがあります
猫の動脈血栓塞栓症は後ろ足に詰まることが多く、強い痛みを伴います。
血栓が詰まった箇所よりも下流では血が巡らなくなるため、麻痺が出る、足先が冷たくなる等の症状が特徴です。

どうやって診断するの?

・身体検査
肥大型心筋症で聴診上の心雑音がみられるのは63.8%。その他にも心音のリズム異常がみられる場合がありますが、22%では聴診での異常が全く認められない為、雑音がなくても可能性は除外できません。

・心臓超音波検査
リアルタイムで心臓の動きを把握することができ、心筋の厚みや心臓の拡張・収縮具合等をみることができます。
また、左心房の拡大があるかどうか、血栓ができ始めていないか、大動脈から全身に血液を送り出す際の血流が乱れていないか等もわかります。

・レントゲン検査
心臓の大きさ、肺や気管、血管の状態などがわかります。

・血圧測定
全身性の高血圧により心筋の肥大が認められることがある為、血圧を測定しておく必要があります。

・血液検査
心臓以外の臓器の異常が無いか、例えば高齢猫で甲状腺機能亢進症を持っている場合、その治療をすることで、心筋の肥大が改善することがあります。
また、心臓薬により腎臓の数値などに影響が出る場合がある為、治療の前後に血液検査を行います。
更に、心臓マーカーを測ることで、心臓病の早期発見や病態把握に役立ちます。

・心電図検査
様々な不整脈が認められることがある為、心電図検査を行います。

治療法は?

残念ながら、肥大型心筋症そのものを治癒させる方法はなく、内科的な対症療法が中心となります
アメリカ獣医内科学会が2020年に発表したガイドラインに基づき、A~Dまでのステージごとに、治療、もしくは経過観察が推奨されています。

Stage A:現在心筋症に罹患していないが心筋症に罹患する素因がある
 →治療不要
Stage B:心筋症に罹患しているもののうっ血性心不全や大動脈血栓塞栓症が未発生
 B1:左心房サイズが正常~軽度拡大  
  →基本的に投薬なしで経過観察。年1回以上の心臓超音波検査
 B2:左心房サイズが中程度~重度拡大
  →動脈血栓塞栓症のリスクがより高ければ抗血栓療法を行う
Stage C:うっ血性心不全や動脈血栓塞栓症が現在もしくは過去に発生
 急性期:肺水腫や胸水貯留→入院下で利尿剤や強心薬で治療。胸水があれば抜去し、必要に応じて酸素給与等行う
 慢性期:重症度に合わせた利尿剤の使用
Stage D:うっ血性心不全が難治性
 →利尿剤の変更、強心薬の使用を考慮

治療への反応は様々で、シンプルな内科療法のみで寿命を全うできる子もいれば、若齢でも急速に進行してしまう子もいます。

猫ちゃんの為にできること

心筋症は、通常の定期健診では判明しにくいので、特化した検査を定期的に受けることが大切です
症状がなくても、半年~1年に1回、心臓エコー検査を受けていただくのが、最も理想的です。好発猫種の子や、中年齢以降では特に推奨されます。
また、血液検査の心臓マーカー(NT-proBNP等)であれば、少量の血液を採るだけで検査ができるので、定期健診の血液検査時に追加するのもお勧めです。

先生から一言

肥大型心筋症は、症状がなくても持っている割合が15%と多く、また幼少期から発症する可能性もあり、とても厄介です。
この病気は生涯、投薬治療が必要になるケースが多く、進行するに従って治療内容を変えていく必要があります。
もし猫ちゃんがこの病気になってしまった時は、その子の状態をより正確に把握して、治療内容をしっかりと獣医師と相談して決めることが大切です。

いかがでしたか?
おウチの猫ちゃんの定期健診をして、病気を早期発見したいですね。
現在、当院では健康診断キャンペーンを実施中です。
また毎週木曜日には循環器診療を行なっております。
何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。

足立区東和にある亀有東和動物病院。
足立区東和、中川、大谷田、谷中、葛飾区亀有から多くの方にお越しいただいております。
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