病気紹介

犬の膿皮症ってどんな病気?

2021/09/17/

さて、本日は病気について解説いたします。
今回は「犬の膿皮症」。
犬の膿皮症とはどのような病気なのでしょうか?
また検査や治療はどのように行うのでしょうか?
是非ご一読ください。

膿皮症とは

膿皮症とは、皮膚で細菌が増殖することによって、皮膚のかゆみや赤み、湿疹や脱毛などの症状を引き起こす病気です。
犬で多くみられ、猫でみられることはまれです。

分類

膿皮症は、病変部の深さによって表面性、表在性、深在性と分類されます。
それぞれの割合は、4%、74%、12%、表在性と深在性の混合が10%との報告があり、表在性膿皮症が最も多く認められます

表面性

皮膚表面に菌がいて赤みはあるが、好中球はいないもの。

表在性

表皮や毛包内に病変があり、感染が成立しているもの。
膿痂疹、細菌性毛包炎、表在性拡大性膿皮症、粘膜皮膚膿皮症に細分類できる。
表在性拡大性膿皮症では、紅斑が遠心性に拡大し、環状紅斑となり、表面に表皮小環が認められる。

深在性

感染が真皮まで及んでいるもの。

原因

膿皮症の原因となる細菌は、ほとんどが皮膚や粘膜にもともといる常在菌、ブドウ球菌(Staphylococcus pseudintermedius)です。
それが、何らかの原因で皮膚のバリア機能が低下することで、過剰に増えてしまい、皮膚炎を起こしてしまうと考えられています。

再発を繰り返す表在性膿皮症では、皮膚のバリア機能低下の原因として、
・アレルギー性皮膚炎(59%)
・毛包虫症(19%)
・甲状腺機能低下症(11%)
・副腎皮質機能亢進症(6%)
が基礎疾患としてあったとの報告があります。
その他にも脂漏症、毛包の構造異常等の宿主側(犬)の様々な要因が関わっていることがあり、複合的な治療が必要です。

診断

膿皮症は、病変部の皮膚にスライドガラスを押し当てるスタンプ検査や、セロテープで細胞を取ってくる検査により、細菌感染像を顕微鏡で検出することにより診断します。
抗菌薬を使用してもなかなか良くならない場合等は、必要に応じて細菌培養・薬剤感受性試験(細菌に対してどの抗菌薬が良く効くかを調べる試験)や、膿皮症を引き起こすようなホルモン異常・アレルギー疾患といった基礎疾患についての検査も行います。

治療

膿皮症の治療は、症状の程度に応じて使い分けます。
症状が比較的軽い場合には、シャンプーや抗菌作用のある外用薬を用いて治療します。
重症の場合や、シャンプーや外用薬での治療を行っても改善が乏しい場合には、抗菌薬の内服によって全身的に治療を行います。
通常は、比較的治療に反応がみられることが多い病気ですが、治りが悪い、繰り返す等の場合、基礎疾患(ホルモン異常やアレルギー疾患など)の精査、治療を行います。

最近では薬剤耐性をもったブドウ球菌(メチシリン耐性Staphylococcus pseudintermedius :MRSP)の存在が問題となっています。
一般的によく使われる抗生剤に対して耐性を獲得して、その薬が効かなくなってしまうのです。
このMRSPは特にここ20年で増加傾向にあります。
このような現状から、外用療法での管理、内服抗菌剤の適切な使用や、基礎疾患の管理による再発の予防にも留意しながら、治療を行っています。

先生から一言

皮膚病は、症状が似ていても原因が異なることや、複数の原因がある場合、二次的に症状が出ている場合などもあります。
内服薬だけでなく、外用薬、シャンプーによる薬浴、食事療法、サプリメントなどを、症状や重症度、飼い主様のご都合に合わせて、組み合わせて治療をおこないます。
皮膚の管理には、日頃から適切なシャンプー、ブラッシング等のスキンケアを行い、こまめに皮膚や被毛の状態をチェックしてあげることも大切です。
その子の皮膚の状態に合ったシャンプーやお食事等のご相談も承っております。
皮膚の赤みや痒みがおさまらない等、お困りのことがございましたら獣医師までお気軽にご相談ください。

いかがでしたか?
皮膚は普段触れ合う中で比較的異変に気付きやすい部位ではないでしょうか。
痒いのはワンちゃんも辛いでしょうし、あんまり掻いてしまうと出血してしまうこともあります。
何か気になることがありましたら、お気軽にご相談ください。
また耐性菌を出さないためにも、処方されたお薬は用法用量を守ってお使いください。

足立区東和にある亀有東和動物病院。
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