病気紹介

犬と猫の乳腺腫瘍ってどんな病気?

2021/07/10/

さて、本日は病気について解説いたします。
今回は「乳腺腫瘍」。
ワンちゃんもネコちゃんも、高齢になるにつれ体にできものができることも増えてきます。
その中でも今回は、乳腺腫瘍の特徴や、診断、治療の流れについてお伝えします。
是非ご一読ください。

また当院で施術した乳腺腫瘍の症例紹介はこちらをご覧ください。

犬と猫の乳腺腫瘍の特徴

乳腺腫瘍は犬の腫瘍では2番目に多く(雌では1番目)、猫では3番目に多いと言われています。
犬では中~高齢の避妊手術をしていない雌に多く発生し、良性と悪性の比率は50%程度とされています。
猫では犬に比べると発生は少ないですが、悪性の可能性が80~90%と非常に高く、早期の積極的な治療が必要です。
悪性の場合は放置するとリンパ節転移や肺への遠隔転移を起こし死に至る事があります。

(犬の場合)                     
犬の乳腺は胸部から鼠径部にかけて縦に長く計5対存在しますが、乳腺腫瘍はそのどこからでも発生する可能性があり、1つ腫瘍ができると次々に他の場所にもできる事があります。
犬の乳腺腫瘍は避妊手術を早期に行うことで発生率が減少すると言われています。
避妊手術を初回発情前に行うと乳腺腫瘍の発生率は0.5%ですが、初回発情後では8%、2回以上の発情後では26%に上昇します。
しかし、2歳をこえて避妊手術をしても、予防効果はほとんどないとされています。

(猫の場合)
猫の乳腺は胸部から腹部にかけて計4対存在します。もし猫で乳腺腫瘍ができてしまったら、80~90%が悪性と言われています。
そのため、より早期の診断、治療が必要です。
避妊手術を初回発情前に行うと乳腺腫瘍の発生率は9%ですが、初回発情後では14%2回以上の発情後では89%に上昇します。
ただし、2歳をこえて避妊手術をしても、予防効果はほとんどないとされています。

そのため、犬も猫も乳腺腫瘍の発生リスクを下げるためには、早期、特に1歳未満での避妊手術が推奨されます。

検査の流れ

乳腺付近のしこりを発見した場合、以下の検査をお勧めします。

1 細胞診検査
細い注射針で腫瘤の中の細胞を吸引しスライドガラスに塗布し、染色したものを顕微鏡で観察する検査です。
良性か悪性かの診断は出来ませんが、その腫瘤が本当に腫瘍か(炎症等では無いか)、また腫瘍でも乳腺腫瘍か、他の腫瘍かを判断します。

2 胸部レントゲン検査
乳腺腫瘍という診断がついたら胸部レントゲン検査で肺転移がないかを確認します。

3 病理組織検査
手術によって切除した腫瘍は、病理組織検査を行えば良性か悪性か判ります。

治療方法

乳腺腫瘍の最も効果的な治療法は外科的な切除です。
また、高齢期に増えてくる卵巣や子宮の疾患を予防出来る為、同時に避妊手術をする事も可能です。
避妊手術を同時に行う事で乳腺腫瘍の経過が良くなる可能性も報告されています。

(犬の場合)
術式には腫瘍のみを小さく切除するものから両側乳腺を広範囲で全摘出するものまであり、腫瘍の悪性度、ステージ、腫瘍の数、年齢や一般状態を考慮してご家族と相談しながら術式を決定します。
そして摘出組織による病理組織検査で、悪性か良性かなどの確定診断を行います。
悪性度が高い場合や進行状態によっては、術後に補助的な化学療法を行うこともあります。

(猫の場合)
猫の場合はほとんどが悪性なので、肺転移が見られない状況であれば片側乳腺切除術が最も勧められます。
両側の乳腺に腫瘍がある場合は片方の乳腺の全摘出術を行った1ヶ月後にもう片方の乳腺全摘出術を行います。
(一度に行うと術後の皮膚の張りがきつくなるためです。)

先生から一言

早期に発見するには日頃からワンちゃんやネコちゃんを抱っこし、乳房あたりをよく触ってみることも大切です。
特に初期では悪性のものでも痛みもなく、元気や食欲に変化がないことがほとんどです。
小さなことでも気になることがあれば受診をお勧めします。 
早期の避妊手術でかなり予防できる腫瘍です。避妊手術の実施時期等についても獣医師までお気軽にお問い合わせください。

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避妊手術についてはこちら

いかがでしたか。
大切な家族には健康を過ごして欲しいですね。何かできものがあるなど、心配なことがありましたら、お気軽にご相談ください。

繰り返しになりますが、当院で施術した乳腺腫瘍の症例紹介はこちらへ。

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