症例紹介

【症例紹介】肛門嚢破裂

皮膚科

2021/12/13/

・症例

動物種:猫

品種:MIX

性別:去勢オス

年齢:3歳0か月

体重:5.1kg

 

主訴

昨日、肛門の横に赤みがあることに気づいた。患部を気にして舐めている。

 

身体検査

左肛門嚢の位置に瘻管及び出血が認められた。

 

診断

解剖学的位置及び症状から、肛門嚢破裂と診断した。

 

治療

患部周囲の毛刈り及び、洗浄及び消毒を行い、抗生物質の投与を行うこととした。

また、患部を舐めないよう、エリザベスカラーを装着した。

写真:毛刈り、洗浄、消毒後の患部

 

治療経過

写真:3日後の患部。傷の縮小を認める。

 

写真:1週間後の患部。傷も治癒し、経過良好。

現在、経過観察中。

 

先生からのコメント

肛門嚢は変化した皮膚の付属器で、肛門の左右に1 対存在し、悪臭のあるペースト状の分泌物を貯蔵している袋状の構造物です。よく『肛門腺』と呼ばれていますが、この袋のことは正式には『肛門嚢』といいます。分泌物は,正常な排便時や極端に興奮したときに導管を通して放出されます。 

 

肛門嚢炎はよく認められ,教科書的には犬の罷患率は10%、猫ではまれとありますが、猫の肛門嚢破裂も日常診療で度々認められます。

肛門嚢炎は、細菌の過剰増殖や、導管の閉塞によって引き起こされます。

導管が閉塞しているにもかかわらず分泌物が蓄積し続けると、肛門嚢は充満し、最終的には破裂してしまいます。

原因は、感染、内分泌疾患、アレルギー性疾患、特発性等が言われていますが、原因が特定できないことの方が多いです。

 

基本的には手指による貯留物の絞り出し、洗浄、抗生物質の投与によって内科的に管理できることが多いです。

内科的療法を行っても繰り返す場合や、腫瘍が疑われるときには,外科的治療が行われることもあります。

 

気を付けていても、ワンちゃんやネコちゃんが肛門嚢炎や破裂を起こしてしまうこともあります。お尻を気にする仕草が増えた等、気になる変化があれば早めに獣医師までご相談ください。

 

 

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